玄関を入ったとたん、目の前にドン！ と迫る階段。思わず「わぁっ！」と声を上げた取材班に「狙い通りです」とにっこり笑う奥さま。そう、このビジュアルがＡさんの家づくりを物語っているのです。
　実は当初、ハウスメーカーで予定していたプランがボツになり、ちょうど同時期に家を建てていた友人にビルドを紹介してもらったＡさん。「せっかく工務店で建てるなら思い切り遊ぼう、やりたいことはやろう」と決めました。まず奥さまが欲しかったのは大きな倉庫。「土地が狭いので、床下に収納を集約したかったんです」。そして「お客さまが入ってきた時に『わー！』と言わせたくて、玄関にインパクトを持たせようと」。この２つを両立させたのが、スキップフロアの和室です。壁を作らず、柱の間に桟のようにワイヤーだけ張ることで圧迫感もなく、１階全体がオープンなフロアになりました。さらに階段は４段とも踏板が開いて下駄箱として活用するという、ご主人のアイデアも秀逸。床を上げた分の天井高は２階の寝室に続き、ロフト風のクローゼットにするという形で、多層的に空間が重なる設計が巧みです。
　杉板を斜めに張った床、既製品のシンクと食器棚を組み合わせて天板と側板を張ったアイランドキッチンなど、こだわりもあちこちに。部屋のテイストに合わせてお気に入りの作家さんが手づくりしたテレビ台やペンダント照明などのインテリアも加わり、個性的な住まいが完成しました。「細かいことまでいっぱい注文したのを実現してくれたビルドさんのおかげ」と奥さまは感激しきりです。
　今後は必要に応じて和室に障子を取り付けるなど、暮らしに合わせてフレキシブルに変えられる余地もある家。これからもアイデア次第で、楽しい表情が加わりそうです。