依頼から設計まで待つこと１年。「どうしても前川社長に託したかった」と語るＴさんをそこまで引き付けたのは何だったのでしょうか。ある完成見学会で衝撃を受けたというＴさん。「自然素材をふんだんに取り入れ、素材の良さを生かしたデザインが見事でした。そして設計を手掛ける社長の美的感覚に共感することも多く、信頼できる人柄もきっかけになりました」と語ります。実際に家づくりがスタートしてからも、餅は餅屋というスタンスで、基本的にはおまかせだったとか。「私たちが伝えたのは広い玄関と土間収納くらいです」と。
　外観は大屋根が美しく、家全体を守っているよう。「20～30年経ったときにメンテナンスが必要かどうかが分かれ道」と語る前川社長。深い軒に守られたＴ邸は壁面のダメージが少なく、美しい状態が長く続きます。また、２階部分をぎゅっとコンパクトに設計することで、均整のとれた美しい外観を叶えました。さらに、家の正面から駐車スペースを抜けると奥には中庭が。南隣に住む奥さまのご両親とのつながりを意識した設計です。デッキで日向ぼっこをしていると両親が来ることもあるのだとか。そして、玄関は田舎の土間玄関に憧れたというご主人の希望を取り入れ、奥行きのある空間に。奥には土間収納を設け、釣りやスノーボード、剣道など多趣味なご主人の用具をたっぷりと収納しています。
　決して多くを望んだわけではなくとも、隣家とのつながりや生活動線などを肉付けしながら、Ｔさんらしい住まいに仕上がりました。「前川社長のクリエイターとしての才能と、コーディネーターの小松さんの主婦目線があいまって、バランスのとれた住まいになりました」と奥さまも笑顔。ご夫妻の人柄に家の魅力も加わって、自然と人が集まってくる住まいになりました。